2017/08/18

建築は本

とある打合せで岐阜方面へ行ってきました。電話やメールで十分事足りるこの時代、先方よりもわざわざ?!と驚かれたのですが、いいのです行きたかったのです。同じ空気を吸ってお話してみたかったからで、それだけですが、大事にしたいことのひとつです。




模型等荷物が多かったこともあり、車で向かうことにしました。時期は民族大移動のお盆まっさかりです。テレビでは渋滞45キロ!などと嬉しそうに実況中継。戦場へ好んで向かうようなものでしたが、若干ハイにもなってきました。

夏休み中の娘たちを実家に預け、いざ出発。渋滞を避け約8時間かけて岐阜に到着しました。そうして打合せの合間を縫って分刻みで移動します。グーグル先生大活躍です。今回の出張、建築探訪も同時に重ねたのです。




ぎふメディアコスモスを皮切りに、せっかくの遠征だからと見たかった建物・名前だけ聞いたことある建物・ジャンルも好みも無作為に手当たり次第訪ねます。伊藤氏、妹島氏、西沢氏、藤森氏、磯崎氏。アントニン・レーモンドに吉村順三氏・・・講評も批評も関係なく、己の目で見、空間を味わう至福。知った被ってうんちくなど野暮なことは否。建築が在って生まれた空間を、設計の意図を想像しながら体感するのはものすごく楽しい!
夏休み中の子供連れで賑わう昆虫博物館(安藤忠雄氏)は湿気と臭いと蠢く昆虫の気配にノックアウトされましたが。うめきながら写真を撮りまくる夫婦(虫苦手)はさぞかし奇妙に映ったことだったでしょう。





帰宅後、購入したままになっていた雑誌を何となくめくると、安藤忠雄氏のコラムが目にとまりました。
「建築にはそれが造られた時代の薫りが歴史として詰まっているわけですから、建築を見て回るというのは、本を読んでいるみたいなものです。何を見ても、あれも楽しい、これも楽しい。今思い出しても、感動の記憶が蘇ってきます。」

思い出しました。学生だった頃。結婚したて、笑っちゃうくらい仕事がなかった頃。暇さえあれば建物を見てまわりました。そうして感動したり焦ったり、一流と言われる仕事を前に感服したり、泥のような感情をもったりとしたものです。
それはイチミリも変わらず、今もなお。

仕事が趣味で、趣味が生業で、本当に幸せだと噛みしめる出張でした。
帰り道もグーグル先生のお世話になりグルグル回り、2日半で約1800キロ走破しました。結局ずっと運転手の彼に感謝。